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自分の目標を知る方法『早期回想分析』

 前回のブログでは「アドラー心理学」的な生き方として、芸術家のアプローチ方法を紹介しましたが☞芸術家としての「アドラー心理学」的生き方


 

 今日はそのうちの一つである「自分の目標を知る方法」についてお話ししたいと思います。アドラー心理学でいう「目標」とは、幼い頃に自ら作り上げた「仮想の目標」のことです。これは簡単に言ってしまうと、幼い頃に誰もが感じる劣等感を補償する(埋め合わせる)ための目標ということになります。この目標はだいたい4・5歳から遅くとも10歳くらいまでには作られると言われていて、この目標がその子どものライフスタイル(性格)を作り上げているとアドラー心理学では考えます。


 

 この目標(仮想の目標)を知るための最も有効な方法は、「幼い頃の思い出」を聴くことです。今思い出せる、最も古い記憶はどんなものですか?とクライエントに聴くのです。この最も古い記憶のことを「早期回想」と呼んでいます。


 早期回想は、以下の5つの条件を満たしていなければなりません。


 ①ある日ある所での特定のできごとの思い出であること。②始めと終わりのあるストーリーであること。③ありありと視覚的に思い出せること。④感情をともなっていること⑤できれば10歳くらいまでの思い出であること(以上、アドラー心理学教科書77頁より)


 気をつけなくてはいけないのは、「早期回想」は一回生の思い出であるということです。例えば、「昔よく、父親に魚釣りに連れていってもらったものだ」というのは早期回想にはなりません。(これは報告になってしまいます)「父親と魚釣りに行った時に、自分の釣り針が、父の顔に引っかかってしまって…」と言ったようなある日、ある所での特定の出来事。つまり何度も繰り返されたことではなくて、一回生の思い出である必要があるわけです。


 人は、自分の過去の記憶の中から、現在のライフスタイル(仮想的目標)に一致したものだけを思い出すとアドラー心理学では考えます。つまり、人は自分にとって「覚えておきたいと思うこと」「今の自分にとって役に立つだろうと思うこと」だけを選択的に思い出すのです。記憶というものは、自分の信念を強化するために使われるとアドラー心理学では考えます。


『実際に何があったのかは、それほど重要ではありません。あるいは、そのできごとは、実際にはまったく起こらなかった、ただの想像の産物であるかも知れません。重要なのは、今、そのように思いだすという事実なのです アドラー心理学教科書79頁』


 つまりそういうことなのです。記憶から知りたい情報は主に3つです。問題だと感じられていることは何かという(課題)と、どのような目標にむかって課題を解決しようとしているのかという(目標)、そしてどのような手段で目標に到達しようとしているのかという(手段)です。優秀なカウンセラーでしたら、たいてい早期回想を2つくらい聞けば、その人の目標と(目標に向かう動き=ライフスタイル)を診断することができます。興味のある方はぜひこちらまで。


鈴木昇平(アドラー・カウンセラー)


 





 
 
 

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