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「遺伝」か「環境」か

更新日:2021年4月8日

 アドラー心理学では、「遺伝」も否定しなければ「環境」も否定しないということを以前に書きました。「遺伝」や「環境」はその人に影響を与えるもの、つまり「影響因」としてその人に働いているという考え方を、アドラー心理学では採用しています。しかし、「遺伝」や「環境」だけでその人の「性格」や「能力」や「人生」が決定されるわけではなく、「遺伝」や「環境」という因子に影響を受けながらも、だとしたら「あなたはどうする?」「どう生きる?」という問いのもとに、その人自身が、人生を選び取っていると考えます。


 これをアドラー心理学では「自己決定性」とか「主体性」と呼びますが、ここで使われる力がいわゆる想像力(creativity)です。つまり「遺伝」と「環境」という制限を受けながらも、最終的には創造力によって、その人が「どう生きるかを決定している」と考えるのです。

 

 しかしアドラー自身は、同じ影響因の中でも、「遺伝」以上に「環境」を重視していました。というよりも、「遺伝」に関してはかなり否定的でした。生まれつき手や足や目が耳が不自由だとか、体が弱いとか(臓器に欠陥があるといった)、いわゆる「器官劣等性」に関しては認めていたようですが、それ以外の「能力」面や「性格」面などに関しては遺伝を明確に否定しています。


性格特徴は遺伝ではなく、後天的に身に付けたものである」とアドラーは言います。

「怠惰な子どもは生まれながらにして怠惰であるわけではない。怠惰であることが人生を容易にする手段であると同時に、重要感(周りからの注目)を維持するために使われている」だけなのだと。

 つまり「環境」に対して、その人(子ども)が選んだ適応法が「性格」であるというのです。



「性格とは、社会的概念である」とアドラーは言います。


 社会適応のために使われている性格。あなたのその性格にも、きっと隠された目的があるのではないでしょうか。

鈴木昇平(アドラー・カウンセラー)


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