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神経症的な性格(ライフスタイル)を改善する方法 -自己勇気づけ-

更新日:2021年4月8日

 今日は神経症的な性格(ライフスタイル)を変える方法をご紹介します。



 結論から言ってしまうと、神経症的な傾向は「自分を勇気づけること=自己勇気づけ」によって改善することができます。


 岸見一郎先生は、『人はなぜ神経症になるのか』(アルテ)の解説(189頁)の中で、「神経症的なライフスタイル」について以下の5つの特徴を上げています。


① 人生の課題を解決しようとしない

② 他者に依存する

③ 他者を支配する

④ 自分には人生の課題を解決する能力がないと思う

⑤ 他者は敵である                  


 人生の課題とは、アドラー心理学で定義されるライフタスクと呼ばれる3つの課題、「仕事の課題」「交友の課題」「愛の課題」のことであり、これはいずれも「他者との対人関係の課題」であるといえます。


 神経症的傾向の人は他者に依存したり、他者を支配しようとしたりしますが、これは人生の課題を解決しようとする「勇気」が不足しているからと考えられます。さらに「他者は敵である」という認識は、勇気だけではなく「共同体感覚」の量も不足していると考えることができます。


 「自分には人生の課題を解決する能力がない」と思ってしまうのは、「他者は敵である」という認識から生まれています。なぜならアドラー心理学で扱う3つの課題は全て、「他者との対人関係」の課題だからです。つまり、他者はそもそも「敵」ではなくて、「仲間」であるという認識が必要になるのです。


 他者を仲間であるとは思えない、この神経症的傾向の裏にあるものは、「過剰な劣等感」です。「劣等感は人間なら誰もが持っている感情」ですが、これが臨界点を超えるくらい強烈になった時に、神経症的傾向が表れます。これをアドラー心理学では「劣等コンプレックス」と呼んでいます。


 このような神経症的なライフスタイル(=劣等コンプレックス)を克服するための訓練の一つとして、「自己勇気づけ」があります。自己勇気づけの目的は、過剰な劣等感を減らすことです。



 劣等感を減らすための方法はいくつもありますが、最もシンプルで簡単な方法は、「今できていること」に注目することです。「今あるもの」に関心を向け、「今できていることを数える」ことです。



 人間は多くの場合、「欠けているところ」「できていないところに」に目が行きます。上司は部下が売り上げを維持している時には何も言いませんが、売り上げを落とした時には注意します。学校の教師は子どもが授業中静かに話を聞いている時には何も言いませんが、集中力を切らせて隣の子とおしゃべりした時には注意します。



 つまり人は、「できている」ことには注目せず、「できていない」ことに注目する傾向があるということです。


 しかし、よくよく考えてみれば分かるように、人は「できていること」のほうが「できていないところ」よりも圧倒的に多いのです。ただ、「できていることは当たり前である」と考えてしまうために、「できていること」には注目しようとしない。


 この傾向は自分自身に対してもそうだと言えます。


 つまり、自分は「ここができてないからダメなんだ」と、それを内言化してしまうのです。これを「自己勇気くじき」と言います。この自己勇気くじきが、劣等感を強化する刺激になっているのです。


 よって、劣等感を減らすためには、その逆の訓練をすることが有効であるといえます。



 「今あるもの・持っているもの・できていること」に関心を向けてみてください。そして「今できていること」を一つひとつ数えてみてください。



 そうすることで、劣等感を適度な(正常な)状態に戻すことができ、神経症的なライフスタイルを改善することができるのです。



鈴木昇平(アドラー・カウンセラー)



 
 
 

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