心はどこにあるのか?
- 鈴木昇平

- 2020年3月9日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年6月15日
今日は心理学を学ぶ上で、基本的な前提(知識)についてお話したいと思います。
子どもに「心はどこにあるの?」と聞けば、たいてい胸を指したり頭を差したりしますよね。これは大人に聞いても同じような答が返ってくるはずです。つまり我々には、心は「心臓」か「脳」にあるという漠然とした思い込みがある。
心臓と脳に共通する点は、両者とも人間の生存に欠かせない最も重要な臓器(器官)であるということです。これは「生きる」という行為が、心の存在なしには考えられないことの現れなのかもしれません。
心理学はもちろん「心」をあつかう学問ですが、やっかいなのは、今の科学では心を可視化することができないことです。よって心の変化や変容を見るためには「別の要素」を組み合わせてやる必要がある。
その要素が「行動」です。
行動は目に見えますから、行動によって、心の変化や変容を確認しようというわけです。
つまり心理学とは、「心と行動の学問である」といえます。
ちなみに、心理学は大きく2つに大別されます。それは、「健康な心・正常な心を扱う(実験心理学)」と「病んだ心・傷ついた心を治す(臨床心理学)」です。このあたりのことは精神科医の和田秀樹氏が『比べて分かる!フロイトとアドラーの心理学』(青春出版社)の中で分かりやすく解説してくれてます。
話をもとに戻しますね。「心がどこにあるのか」を考えた時に、心臓という臓器は一つのメタファー(比喩)である気がします。心臓は体の中心にあるし(それゆえに大切な部位だし)、感覚的には「心はそこにあってほしい」という願望的なものが込められている気がするのです。心が「脳」にあるとしたら、何となくドライな感じがしませんか?
しかし、心の機能はやはり「脳」にあると考えるのが現実的なのではないでしょうか。
ちにみに、前著『比べて分かる!フロイトとアドラーの心理学』の中で、和田秀樹氏は脳と心の関係を考えるにはコンピュータを思い浮かべるのがよいと言っています。
「脳をハードウェアだとすれば、心はソフトウェアなのだ」と和田氏は言うのです。
我々がパソコンを使う時(コンピュータには詳しくない一般人には)ソフトウェアの仕組みはよく分かりません。
でも我々はモニターに映るソフトを実行することによって、その動きや変化を確認することができる。それは見えない心の仕組みを、「行動」というアウトプットによって確認するのと非常によく似ている。
つまり「心理学を学ぶ」ということは、脳のソフトウェアの仕組みや使い方を、「行動」というアウトプットを通して確認し、学ぶことなのかもしれないということです。
鈴木昇平(アドラー・カウンセラー)



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