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劣等感は必ず補償される

 前回までのブログでは、ひたすら劣等感について見てきました。アドラー心理学は劣等感に始まり劣等感に終わると言われくらい、劣等感はアドラー心理学の重要なキーワードなのです。


 ちなみに、「人は劣等感には耐えることができない」というのがアドラー心理学の前提になる考え方です。全てのスタートはそこなのです。では劣等感に耐えられない人はどうするかというと、アドラーは以下のように言っています。『個人心理学講義』(アルテ)からの部分引用です。


『子どもは弱いので、劣っていると感じ、自分では耐えることのできない状況にいると感じる』→『劣等感によって(子どもは)行動に駆り立てられる』→『その結果(子どもは)目標を持つことになる』


 つまり劣等感を感じると、人は動かざるをえないということです。それは自分が劣っているという感情(これはあくまでも主観的なものですが)から抜け出すための動き(movement)なのです。そしてその行動の結果として、人は目標を持つことになるのだとアドラーは言っているわけです。


 しかし、この目標は本人が抱える劣等感同様、極めて主観的なものです。それは「こうすれば自分は劣等感を感じなくてすむ」「こうすればうまくいく」という、いわば幻想でありfictional goal(虚構の目標)なのです。


 つまり何が言いたいのかと言うと、劣等感は必ず補償されるということです。それは自ら創りだした虚構の(仮想の)目標によって、埋め合わされるのです。この目標へ向かう動き(movement)を、アドラー心理学では「優越性の追求」と呼んでいます。この優越性の追求が、ライフスタイル(一般的に性格と呼ばれるもの)の形成に使われることになります。

 

 ライフスタイルについては以下の2つのブログ


鈴木昇平(アドラー・カウンセラー)

 
 
 

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©  Shohei Suzuki

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