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劣等感には2種類ある

更新日:2020年7月16日

 劣等感についての話がつづいておりますが(「劣等感について」「続・劣等感について」)今日は「劣等感には2種類ある」というお話をしたいと思います。


 

 アドラーは劣等感についてその著書『個人心理学講義』(アルテ)の中で次のように言っています。



『劣等感は、健康で正常な努力と成長への刺激である』


また、


劣等感をすっかり取り除くことはできない。実際、私たちはそうすることを望んでいない。なぜなら、劣等感は、パーソナリティ形成の有用な基礎となるからである。』と。


 

 これを読むと、アドラーが劣等感に対して肯定的な考えをもっていたことがうかがえますよね。「自分が劣っているという感情」はパーソナリティ形成の有用な基礎になるのだと。「劣等感をバネにする」という言葉がありますが、まさにあれです。


 

 しかしアドラーは「劣等感が病気の様相を呈する時がある」とも言っています。「無能感が個人を圧倒し、有益な活動へ刺激するどころか、人を落ち込ませ、成長できないようにするときに初めて、劣等感は病的な状態になる」と言います。


 

 それではどのような時に劣等感が人を落ち込ませ、成長できないようにしてしまうのでしょうか?それは「劣等感が過剰な時である」とアドラーは言います。劣等感が大きすぎる(強すぎる)と病的な状態になってしまうよというのです。


 

 この状態を「劣等コンプレックス」とアドラー心理学では呼んでいます。この劣等コンプレックスにおちいると、人は「目の前の課題から逃げたり目を背けたりする」ようになります。


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 一般的に劣等感という言葉はこちらの意味合いで使われていることが多いのではないでしょうか。しかしアドラー心理学では劣等感はその「程度」によって2種類あると考えます。一つは健康で正常な努力と成長への刺激になる「適度な」劣等感。もう一つは人を落ち込ませ、病的な状態にしてしまう「過剰な」劣等感、つまり「劣等コンプレックス」です。



鈴木昇平(アドラー・カウンセラー)

 
 
 

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