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アドラー心理学による夢分析

更新日:2020年6月10日


 夢は、今直面している課題をあぶり出してくれるリトマス試験紙のようなものだとアドラー心理学では考えています。


 

 アルフレッド・アドラーは、『個人心理学では、意識と無意識は、たった一つの統一体(unity)を形成する』と言っていますが、これは言い換えるならば『意識と無意識は協働して、たった一つの目標を追求している』ということです。つまり夢を無意識のものと考えるならば、夢は覚醒時と同じ線(line)に沿って動いているということになります。



 アドラー心理学では一般的なパーソナリティ(性格)のことをライフスタイルと呼びますが、この『ライフスタイル』が、特定の『課題(タスク)』に直面した時に、その人特有の『行動』が生まれると考えます。つまり              

 

 ライフスタイル×ライフタスク=行動

ということになり、これを覚醒時の動きであるとすれば、睡眠時(無意識)の世界でも全く同じ方向への運動が行われているので、   

            

 

 ライフスタイル×ライフタスク=夢



という公式が成り立つと考えられます。

 


 つまり夢は、現実で直面している課題に対して、(無意識の世界で)自分が取るべき行動の「リハーサル」をしていると考えることもできるのです。


 ちなみに、私は大事なプレゼンの前などに(いまだに)『落ちる夢』をよく見るのですが、これは、「危ないぞ!」「失敗するぞ!」「もっと準備しとけよ!」という警告です。




 夢はこの現実の課題へのリハーサル効果によって情動を喚起し、その人を実際の行動へと駆り立てる役割をになっているのです。


 しかし、夢の意味を理解されてしまうとその人は行動しなくなってしまうので、夢はあの手この手を使ってその人をだまそうとします。奇想天外なフィクションを作り出すことでその人の感情を動かし、ライフスタイルの目指す方向に向かわせようとする。それが夢の目的なわけです。


 

 まさにアドラーが言うように、「人間は自分で理解している以上のことをわかっている」のであり、これは何よりもライフスタイルが、自分のことを最も理解しているということに他なりません。面白いですよね。


鈴木昇平(アドラー・カウンセラー)

 
 
 

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