アドラー心理学で考える「性格」とは
- 鈴木昇平

- 2020年3月15日
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前回のブログでアドラー心理学による感情の扱い方について書きましたが、今日はその中で出てきたライフスタイルについてもう少し詳しくお話ししたいと思います。
アドラー心理学では一般的に「性格(character)」や「人格(personality)」と言われるものを、「ライフスタイル(the style of life)」と呼びますが、このライフスタイルは、4・5歳から遅くとも10歳くらいまでに作られると言われています。
アドラー心理学では、「誰もが劣等感を感じており、それを補償している」と考えます。劣等感というのは「他人よりも劣っている」という感情であり、補償というのは「埋め合わせている」ということです。つまり人は、誰もが他者よりも劣っているという感情を(もともと)持っていて、それを(別の形で)埋め合わせて生きているとアドラー心理学では考えるのです。
ライフスタイルは、子どもが感じている劣等感を引き金にして、その子の「想像力」によって作られます。他人よりも劣っていることに耐えられない子どもは(周りは大人ばかりですから劣っていると感じるのは当然ですが)、何とかしてそこから抜け出そうとします。つまり劣等感を別の形で埋め合わせることで、自分がおびやかされない(劣っているとは感じない)居場所を作ろうと動き続けるわけです。
その動き方は子どもによって様々です。人に負けまいと努力したり、逆に苦労を避けるために一番楽な道を選んだり、あるいは人に好かれることで守ってもらったり、時には人をコントロールして自分の思い通りにしてみたり。子どもは想像力を使って様々な方法を試します。そして自分にとって最もピッタリくる(劣等感を感じなくて済む方法)を自ら選び取るのです。
つまりライフスタイルというのは、子どもが社会で生き抜くための「戦略」なのです。この戦略はやがて、「こうすればうまくいく」という信念を形成していきます。ただし、このライフスタイルが選び取られる過程は(まだ幼い頃のことなので)決して言語化されることもなければ意識化されることもありません。よって子どもは経験に対して(未熟な)感覚で解釈し、それを信念として無意識下に定着させてしまうのです。これが性格や人格と呼ばれるものの正体です。アドラー心理学ではそのように考えます。
鈴木昇平(アドラー・カウンセラー)



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